鬼と方位(北東・鬼門)、建物の関係性
鬼と方位には深い関係があり、さらに鬼が出入りする方向である鬼門と建物は古くから結びつきがあることをご存知でしょうか?
そこで今回は鬼と方位、そして鬼門と建物の関係について解説します。
鬼と方位(北東・鬼門)
鬼門という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
鬼門とは北東の方角を指し、鬼が出入りする方向とされています。
その北東方向を十二支でしめすと、丑(うし)と虎(とら)の間に位置する方向となります。
このことから鬼は丑(うし)の角を持ち、虎(とら)のパンツを履く姿になったと言われています。
鬼門と建物
そんな鬼と深い関係のある北東は、鬼門と呼ばれ鬼が出入りする方向とされてきました。
昔の人は鬼が入ってこないように、建物の北東部分に工夫をしてきた歴史があります。
次にそんな建物の事例を紹介します。
京都御所
環境省 御苑案内図(猿が辻)|京都御苑|国民公園
京都市上京区にある京都御所の北東の角は、わざと凹みをつくり角をなくすことで鬼の出入りを封じています。
石清水八幡宮
石清水八幡宮 石清水八幡宮についてABOUT IWASHIMIZU
京都府八幡市にある石清水八幡宮の北東の角は、斜めに切ることによって北東の角をなくす工夫が施されています。
戸建て住宅における鬼門・裏鬼門
北東方向を鬼門、その反対側である南西方向を裏鬼門といいます。
戸建て住宅では古くから、鬼門と裏鬼門の方角には次の3つのものを設けてはいけないという教えがあります。
- 玄関
- キッチン
- トイレ・お風呂などの水回り
この教えには、昔の人の生活の知恵が含まれています。
鬼門である北東はお昼から夕方にかけて太陽の光があたらず、冬の季節の夜には室温が低下しやすい方角です。
この場所にトイレやお風呂などの水回りを設けてしまうと、利用する際に低温にさらされるリスクが生じてしまうのです。
反対に裏鬼門である南西はお昼過ぎから日没にかけて西日があたり続けます。
夏場の午後からは室温が高くなり、冷蔵庫がない時代にキッチンを設けてしまうと食材の傷みが進んでしまうという事情があったのです。
鬼門・裏鬼門に対する私の考え
家の断熱性・気密性や家電の性能が低かった昔の時代には、北東・南西方向に玄関や水回りを設けないという考え方は理にかなっていたと思います。
しかし現代の住宅は樹脂サッシの採用などにより、断熱性・気密性が向上しています。
さらに家電の性能の向上も著しいものがあり、方角による室温の違いによる影響はほとんど受けなくなっています。
北東・南西に玄関・水回りを設けないということは、南東方向に玄関・水回りを配置することにつながります。
敷地条件にもよりますが、南東方向は朝日が入り日中も日射取得を見込むことができる室内環境にとっては重要な場所です。
明確な理由もなく鬼門・裏鬼門を意識し過ぎるあまり、条件のいい場所を活かしきれないのは本末転倒です。
家の断熱性・気密性を上げることに意識を向け、家中の室温がまんべんなく一定となる計画をすることが何より重要です。
鬼門・裏鬼門に玄関や水回りを設けてはいけないとなぜ言われ始めたのか、このことを理解することで不用意に昔からの言い伝えに振り回されなくなるはずです。