一級建築士が解説 室内ドアの種類とそれぞれのメリット・デメリット
家を建てるときに室内で採用するドアの種類がたくさんあって、どれを選べばいいかわからないという方も多いと思います。
実際に室内ドアの種類を決定するには、部屋の使用用途や収納内にしまうもの、人の動線などを考慮する必要があるのです。
そこで120棟以上の注文住宅の設計実績を持つ一級建築士が、室内ドアの種類とそれぞれのメリット・デメリットを解説し、あなたの室内ドア選びのサポートをしていきます。
開き戸
一般的にドアといえば、この種類を思い描く方が多いのではないでしょうか。
片側に丁番が付いていて、扉を押したり引いたりしてドアを開閉するタイプのものです。
メリット
構造がシンプルで、故障が少ない。
デザインの選択肢が豊富にある。
デメリット
ドアを開閉する際に扉が通る軌跡部分は、部屋として使用したり、ものを置いたりできない。
通路や階段に向かって開くと、人と接触する恐れがある。
片引き戸
扉を横にスライドすることで、開け閉めするタイプのドアです。
メリット
扉が壁に沿って動くため、部屋を最大限に広く使用することができる。
押す、引くという体を大きく動かす動作が必要ないため、バリアフリー性に優れている。
デメリット
扉が動く部分の壁には、ものを貼ったり置いたりすることができない。
扉を支えるレール部分に不具合が生じ、故障の原因となることがある。
アウトセット片引き戸
片引き戸と同じで扉を横にスライドし、開閉するドアです。
違いとしては扉の上部にあるレールを直接壁に取り付けるタイプのため、壁の手前側を扉が動くことにあります。
メリット
扉を壁内に引き込む必要がなく、その分の壁を薄くする必要がないため、建物の強度が有利になる。
床にレールがないため、扉の両側の床材が同じ場合は、床を一体的につなげることができる。
デメリット
壁の外側に扉が付いているため、扉の厚み分だけ部屋や通路が狭くなる。
建具の構造上、扉と壁の間にすき間が生じやすい。
壁に取り付けたレールの上部に、ホコリがたまりやすい。
引き違い戸
和室にある押入れのように、2枚の扉を左右に動かして開け閉めする扉です。
メリット
部屋や通路に扉が出っ張らないため、スペースを有効利用することができる。
デメリット
片方ずつしか扉を開けることができないため、収納の場合はものの出し入れがしづらくなる。
折れ戸
扉自体が半分に折れ曲がり、クローゼットなどによく使用されるタイプの扉です。
メリット
両側の扉を同時に大きく開くことができるため、ものの出し入れがしやすい。
デメリット
扉を手前に引いて開けるため、手前にあるものと接触してしまったり、通路が狭くなる。
お子さんが指を挟む原因となりやすい。
まとめ
扉の種類を決定するには、次の3つの視点で日常生活をより具体的にイメージしてみることが重要です。
- その部屋をどのように使用するのか
- その収納にはどのようなものを入れ、どれくらいの頻度で出し入れするのか
- 人はどのように動き、他の人との接触はないか
一度付けてしまった扉はそう簡単には交換することができませんし、交換するには費用も掛かってしまいます。
それぞれの扉の種類ごとの特性をよく理解し、さらに不安がある場合には設計士に相談し、後悔のない家づくりにしていきましょう。