一級建築士兼気象予報士が考える 方角・時間帯別の太陽光の取り入れ方
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建築気象ブログ
天気予報を見ていると「今夜は放射冷却により冷え込みが強まるでしょう。」という言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか?
当たり前のように使われるこの放射冷却という言葉。
一体どんな現象なのでしょうか?
そんな疑問を解決するために放射冷却のメカニズム、発生しやすい気象条件、及ぼす影響について気象予報士が解説します。
お昼に太陽光で暖められた熱が、夜の間に宇宙に逃げてしまうことで夜や朝の気温が著しく下がることを放射冷却といいます。
放射冷却による著しい気温の低下は毎日発生するわけではありません。
ある一定の気象条件がそろえば放射冷却発生の可能性が高くなります。
放射冷却が発生しやすい気象条件は次のとおりです。
雲は地球にとって布団の役割を果たしています。
雲がある夜は地表の暖かさは宇宙に逃げにくいですが、雲が無い夜は熱が宇宙に逃げていきやすいので気温が下がってしまうのです。
放射冷却が起きることによる悪影響を2つ紹介します。
夜の間に気温が下がり霜が発生すると、農作物内の水分が凍り細胞が死んでしまいます。
せっかく育てた農作物も放射冷却の影響で、品質や収穫量の低下につながってしまうのです。
出勤やお出かけの際に、車のフロントガラスが凍結していて遅刻しそうになったという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
夜に放射冷却が発生した次の朝は、フロントガラスが凍結する可能性は高まります。
昼と夜の気温差が大きく、星がきれいに見え、風のないおだやかな夜は放射冷却による気温の低下に注意が必要です。
放射冷却のメカニズムを知ることで、農作物の凍霜害や車のフロントガラス凍結への予防や対策も行いやすくなります。
天気予報でよく聞く放射冷却という言葉、この記事を通してメカニズムを理解していただけると幸いです。