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建築

一級建築士兼気象予報士が教える ハザードマップの確認方法

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発生の可能性が高まっている南海トラフ地震や首都直下型地震、猛烈な強さで日本列島に近づいてくる台風、さらには数十年に一度といわれるような雨をもたらす線状降水帯の発生と自然の脅威にさらされる機会が年々増加しています。

そんな環境から身を守るために家を買ったり借りたりするときはもちろんのこと、学校や職場・最寄り駅の災害リスクを知ることはとても重要です。

そこで今回は一級建築士兼気象予報士が、ハザードマップの確認方法を解説します。

重ねるハザードマップ

その土地の災害リスクの確認には国土交通省と国土地理院が提供している重ねるハザードマップで確認することをおすすめします。

各市町村が出しているハザードマップでは洪水や津波・

また当然のことながら、その市が出しているハザードマップではその市の範囲だけしか災害リスクを確認することができません。

今から紹介する重ねるハザードマップでは、洪水や津波・土砂災害といった種類の異なる災害リスクを1枚の地図上で確認することができます。

さらには隣の市から隣の市へと自由に移動しながら確認することができるため、家から学校や職場・最寄り駅といった生活圏内の災害リスクをスムーズに調べることが可能です。

使い方

まずはインターネットの検索画面で”重ねるハザードマップ”と検索するか、下記のリンクから重ねるハザードマップのサイトを開いてください。

サイトを開くと最上部に検索入力欄が出てくるので、そこに調べたい場所を入力し検索します。

今回の例では大阪府堺市と入力します。

検索すると普段目にしている一般的な地図が表示されます。

次に災害ごとの調べ方と災害リスクの見方を紹介していきます。

洪水・内水

災害種別の欄から洪水・内水をクリックします。

クリックすると地図に色が付きます。

色が付いたところを拡大すると、この地域では”洪水によって想定される浸水深:5.0m ~ 10.0m”と表示されています。

近くを流れる大和川が大雨で氾濫すると最大規模で5.0m ~ 10.0mの浸水のおそれがある地域だということがわかります。

土砂災害

次に災害種別の欄から土砂災害をクリックします。

大阪府堺市内で色が付いたところを拡大して確認します。

クリックすると”土砂災害の危険性:急傾斜地の崩壊特別警戒区域(指定済)(傾斜度が三十度以上である土地が崩壊する自然現象)”と表示されています。

グーグルマップで同じ場所を確認すると、重ねるハザードマップ上に表示されたように急傾斜地となっていることが確認できます。

高潮

次に災害種別の欄から高潮をクリックします。

高潮とは台風や低気圧により海面が上昇し、強い風によって陸地に波が押し寄せる現象のことです。

そのため海沿いの地域で災害リスクが高いことが分かります。

大阪府堺市内の浜寺公園付近では”高潮によって想定される浸水深:3.0m ~ 5.0m”が想定されています。

津波

次に災害種別の欄から津波をクリックします。

津波はみなさんご存じの通り東日本大震災のときには、海岸線を中心に甚大な被害をもたらしました。

津波も当然ながら主に海沿いの地域でリスクが高いことがわかります。

高潮のときと同じく大阪府堺市内の浜寺公園付近では”津波によって想定される浸水深:0.5m ~ 3.0m”が想定されています。

道路防災情報

次に災害種別の欄から道路防災情報をクリックします。

クリックすると道路冠水想定箇所と事前通行規制区間が表示されます。

道路冠水想定箇所

地図上に表示された⚠マークをクリックすると、次のような資料が表示されます。

アンダーパスといって地下をくぐりぬける道路の情報です。

大雨時には水に浸かってしまう可能性があるため、無理に通行するのは避けるべきということがわかります。

事前通行規制区間

地図上の赤線をクリックすると、次のような資料が表示されます。

道路が通行止めになる条件が書かれています。

土砂災害などのリスクが高い道路ということがわかるので、地下通路と同様に無理に通行するのは避けるようにしましょう。

地形分類

最後に災害種別の欄から地形分類をクリックします。

クリックすると地図上に土地の成り立ちごとに色分けがされます。

  • 台地・段丘
  • 氾濫平野
  • 砂洲・砂丘
  • 旧水部‥など

土地の成り立ちがわかれば、その土地の地盤の強さや災害のリスクを知ることができます。

まとめ

日常生活を送るなかで、自然災害のリスクをゼロにすることは残念ながらできません。

それはいつ、どこで、どんな災害が起こるかを完璧に予想することはできないからです。

しかしハザードマップを確認し、災害に備えることは可能です。

家を買う時・借りる時、職場や学校までの通り道、避難場所の確認など事前に災害のリスクを知っているのと知らないのでは大きな差がうまれます。

ぜひ重ねるハザードマップで身の回りのリスクを確認し、日常の生活をより安全・安心なものにしてください。

ABOUT ME
榎本裕一
榎本裕一
一級建築士/気象予報士
新卒でゼネコンに入社後、現場監督として公共施設、マンション、物流センターなど大規模建築物の建設に携わる。

一級建築士を取得後、注文住宅の設計に転職し現在までに累計100棟以上の住宅の設計を行う。

さらに気象予報士としてもTV局で気象サポートの仕事を行ない、建築と気象の二刀流生活を送っている。

【資格】一級建築士/気象予報士/SDGs検定合格
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