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建築

一級建築士が解説 エコキュートの設置に必要なスペース

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エネルギー価格の高騰の影響もあり、屋根に太陽光発電を設置しオール電化を選択する方の割合が増えています。

オール電化にする時の注意点の一つとして、エコキュートの設置スペースを確保するということがあります。

建物の計画が進んでからエコキュートの設置するスペースがどこにもない、という事態を招いてしまわないようにもあらかじめしっかりと計画することをおすすめします。

この記事ではエコキュートの設置に必要なスペースについて一級建築士が解説します。

タンク形状・サイズ

まずはエコキュートの貯湯タンクの形状とサイズを解説します。

エコキュートの貯湯タンクには角型と薄型の2種類があり、設置場所の広さに応じて選択することが可能です。

角型(370L)

コロナ エコキュート総合カタログ

https://www.catalabo.org/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=CATALABO&catalogId=76829430000&pageGroupId=&designID=link&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=

タンクサイズ 幅63cm×奥行73cm

設置場所にゆとりがある場合に選択することが可能なタイプです。

薄型(370L)

コロナ エコキュート総合カタログ

https://www.catalabo.org/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=CATALABO&catalogId=76829430000&pageGroupId=&designID=link&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=

タンクサイズ 幅109cm×奥行45cm

設置場所に限りがある場合に選択することが多いタイプです。

基礎サイズ

エコキュートの貯湯タンクは直接地面に置けるわけではありません。

コンクリートの基礎をつくり、その上にタンクを置き最後にボルトで固定することで転倒を防止しなければなりません。

次に角型タンク、薄型タンクに必要なコンクリート基礎の大きさを解説します。

※基礎サイズはエコキュートのメーカー・型番・使用する固定ボルト等によって大きさが異なります。あくまで一例として参考にしてください。

角型(370L)

コロナ エコキュート総合カタログ

https://www.catalabo.org/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=CATALABO&catalogId=76829430000&pageGroupId=&designID=link&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=

角型タンクの幅63cm×奥行73cmに対して、必要な基礎サイズは幅81cm×奥行87cmとなります。

薄型(370L)

コロナ エコキュート総合カタログ

https://www.catalabo.org/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=CATALABO&catalogId=76829430000&pageGroupId=&designID=link&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=

薄型タンクの幅109cm×奥行45cmに対して、必要な基礎サイズは幅95cm×奥行71cmとなります。

建物基礎からの離隔距離

建物の基礎とエコキュートの基礎の間は10cm程度のすき間をあけることをおすすめします。

その理由は長期優良住宅の基準をクリアすることと、シロアリの侵入対策にあります。

長期優良住宅

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について

一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

長期優良住宅の認定基準として建物の基礎の立ち上がり高さを400mm以上とすることと定められています。

これは雨のはね返りによる土台等の木部の劣化を防止することを目的とした基礎の立ち上がり高さの基準となっています。

建物の基礎とエコキュートの基礎をくっつけてしまうと、建物の基礎の立ち上がり高さが400mm確保できないという事態を招いてしまいます。

シロアリ

シロアリ1番! シロアリの ”蟻道” とは?建物にはこうやって侵入する!

https://www.shiroari-ichiban.com/contents/column/gido-termites-road/

シロアリは基礎の立ち上がりをのぼって建物内に侵入することもあります。

建物の基礎とエコキュートの基礎がくっついてしまうと、エコキュートの基礎を足がかりにしてシロアリが建物の基礎にのぼってきやすくなってしまいます。

シロアリの侵入を防ぐためにも建物の基礎とエコキュートの基礎は離して設置するようにしましょう。

必要な設置スペース

上記で解説してきたタンク形状・サイズ、基礎サイズ、建物基礎からの離隔距離をふまえた角型、薄型のそれぞれの設置に必要な寸法は次の通りです。

角型(370L)

角型の貯湯タンクの横幅が63cmでそれに対して必要な基礎幅が81cm、そこに建物の基礎からの離れ距離10cmをプラスします。

そうするとトータルで建物の基礎の外側からエコキュートの基礎の外側まで、91cmの設置スペースが必要ということがわかります。

薄型(370L)

薄型の貯湯タンクの横幅が45cmでそれに対して必要な基礎幅が71cm、そこに建物の基礎からの離れ距離10cmをプラスします。

そうするとトータルで建物の基礎の外側からエコキュートの基礎の外面側まで、81cmの設置スペースが必要ということがわかります。

まとめ

エコキュートの角型の設置に必要な有効幅が91cm、薄型の設置に必要な有効幅が81cmということを解説してきました。

エコキュートを設置するときには長期優良住宅の基準を守り、さらにはシロアリの侵入を防げるようにあらかじめゆとりを持った設置計画を行うことが重要です。

ABOUT ME
榎本裕一
榎本裕一
一級建築士/気象予報士
新卒でゼネコンに入社後、現場監督として公共施設、マンション、物流センターなど大規模建築物の建設に携わる。

一級建築士を取得後、注文住宅の設計に転職し現在までに累計100棟以上の住宅の設計を行う。

さらに気象予報士としてもTV局で気象サポートの仕事を行ない、建築と気象の二刀流生活を送っている。

【資格】一級建築士/気象予報士/SDGs検定合格
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