このブログの著者について
建築

一級建築士が教える 平屋の魅力5選

eno-archiweather

新築戸建て住宅の8割超は2階建て以上で、平屋建ては全体の2割にも満たない割合です。

土地価格の高騰の影響もあり、一つの土地の敷地面積が小さくなり、建物はタテへタテへと広げざるを得ない状況があることがこの理由の一つです。

今の時代2階建てや3階建ての家に比べると少数派の平屋ですが、魅力は十分にあります。

そこで注文住宅の設計実績120棟超の一級建築士が、平屋の魅力を5つに分けて紹介します。

階段がない

平屋の最大の魅力はなんといっても、家の中から階段をなくすことができることです。

家の中に階段があると小さいお子さんがいる家庭であれば、子どもの転落の危険を考えなくてはなりません。

さらにお年寄りには毎日の階段の昇り降りはつらいものですし、ケガをするリスクも高まります。

家庭内事故の発生場所の割合は65歳以上の場合、階段は18.7%で家の中で2番目に多い場所です。

公益社団法人 長寿科学振興財団 高齢者の住宅内の事故

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-sumai/koreisha-jutakunaijiko.html

家庭内事故の大きな原因である階段をなくすことで、家の中から危険を取り除くことが可能となります。

ワンフロアで完結

洗濯物を干す、寝室に移動する、お風呂に入るなど、家の階数や間取りによっては、これらの動作が階の移動を伴うことも少なくありません。

平屋の場合はすべての居室が同じ階にあるため、日常生活をワンフロアで完結できることが魅力のひとつです。

家事時間は平日の平均で夫婦合わせて4時間30分という調査結果もあります。

国立社会保障・人口問題研究所 第7回全国家庭動向調査

https://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ7/Kohyo/keteidoukou7_gaiyou_20240308.pdf

平屋で家事導線や日常の生活導線をシンプルなものにすることで、無駄を省いた効率的な生活を送ることが可能となり、家事時間の削減にもつなげることができます。

冷暖房費の節約

2階建てや3階建ての家の空調をまとめてコントロールしようと思うと、一般的ではない高額な空調設備が必要となります。

その点、平屋であればそれぞれの部屋のドアを開くことで、ワンフロアまとめての空調管理がしやすくなります。

まとめてコントロールすることで、空調に無駄がなくなり冷暖房費の節約につなげることが可能となります。

あわせて読みたい
一級建築士兼気象予報士が教える 快適な室内環境のつくり方(夏編)
一級建築士兼気象予報士が教える 快適な室内環境のつくり方(夏編)

家族との距離感が近くなる

2階建てや3階建ての場合は、LDKと各居室は階が異なることが一般的なので家族との間に距離ができてしまいがちです。

対して平屋はLDKの近くに、各居室を配置する間取りとなることが多いため、自然と家族との距離感が近くなります。

お互いの気配や様子を感じながら生活を送ることができるので、より密接な関係を築くことができます。

建設費用が抑えられる

平屋は2階建てや3階建てに比べると、建築資材の量が少なくなります。

さらには階段や階段に付随するホールや廊下も不要となります。

トータルで考えると使用する建築資材の量、窓の数、床面積などが少なくなるため、結果として建物全体の建設にかかる費用を抑えることができます。

まとめ

  • 階段がない
  • ワンフロアで完結
  • 冷暖房費の節約
  • 家族との距離感が近くなる
  • 建設費用が抑えられる

今回は平屋の魅力を5つに分けて解説してきました。

2階建てや3階建てに比べると、必要な敷地面積は大きくなってしまいますが、そのことを差し引いても平屋にするメリットは十分にあります。

家族みんなが安全で快適に、そして仲良く過ごすことができる平屋を建てる際の参考になれば幸いです。

ABOUT ME
榎本裕一
榎本裕一
一級建築士/気象予報士
新卒でゼネコンに入社後、現場監督として公共施設、マンション、物流センターなど大規模建築物の建設に携わる。

一級建築士を取得後、注文住宅の設計に転職し現在までに累計100棟以上の住宅の設計を行う。

さらに気象予報士としてもTV局で気象サポートの仕事を行ない、建築と気象の二刀流生活を送っている。

【資格】一級建築士/気象予報士/SDGs検定合格
記事URLをコピーしました