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建築

一級建築士兼気象予報士が解説 バルコニーをつくるメリット・デメリット

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新たに家を建てるときに、バルコニーを無くす選択をとる方の割合が増えています。

その理由としては日本の気候の変化や、室内干し設備の進化があげられます。

ではバルコニーをつくることのメリット・デメリットは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

そんな疑問を解決するために、120棟以上の注文住宅の設計実績を持つ一級建築士兼気象予報士が、バルコニーをつくることのメリット・デメリットを解説します。

メリット

洗濯物を干すスペースを確保できる

バルコニーに物干し竿を設置することで、洗濯物を干す専用のスペースを確保することができます。

当然だと思われるかもしれませんが、室内に洗濯物を干すということは、その分部屋のスペースが狭くなるということです。

洗面所に干すと通行の邪魔になることもありますし、専用のランドリールームをつくろうと思うと必要な床面積が増えてしまいます。

このことを考慮すると、バルコニーに洗濯物を干すということは、家の床面積を最大限活用することにつながります。

子どもの遊び場にできる

土地価格が高騰する今、敷地の中に広々とした庭を確保することは困難を極めます。

そんな時、バルコニーを広くとることで、子どもが遊べる庭代わりとすることができます。

バルコニーを庭代わりにすると、周囲に手すりがあるためプライバシー性が確保され、さらに子どもが急に道路に飛び出す危険もないため、安心して遊ばせることができます。

エアコンの室外機置き場にできる

敷地いっぱいに建物を建てると、スペースの問題から建物の周囲にエアコンの室外機を置くことが難しくなります。

また、室外機から出た風が隣の家にあたることで、近隣トラブルに発展することもあります。

バルコニーにエアコンの室外機を置くことで、これらの問題を解決することが可能にです。

さらに、外壁を沿うエアコンのダクト距離も短くすることができるため、エアコンの取付施工費を安くできたり、エアコンの効率を良くすることにつなげることができます。

玄関や駐車場の屋根を兼ねることができる

バルコニーを玄関や駐車場・駐輪場の上に張り出すことで、屋根を兼ねることが可能になります。

玄関を出てすぐに雨に濡れてしまうことは、家の間取り上よくありません。

また、外から玄関を開ける前に屋根のある場所で、傘やベビーカーをたたむことができれば利便性がよくなります。

カーポートやサイクルポートを建てて屋根をつくることも可能ですが、バルコニーで屋根を兼ねることができれば、お金の節約にもつながります。

デメリット

洗濯物が天候の影響を受ける

洗濯物を外部に干すと、天候などの影響をもろに受けることになります。

花粉や黄砂、PM2.5、さらにはいつ降るかわからないゲリラ豪雨に長引く梅雨など、今の日本の気候の中では、洗濯物を外に干すにはいくつものリスクにさらされます。

干したときは天気が良くても、出掛けた後で天気が急変し洗濯物が濡れてしまったという経験は、誰もが持っていることでしょう。

その点、室内に洗濯物を干せば、このようなリスクとは無縁となります。

ただ、干し方を誤ると生乾きの匂いが洗濯物についてしまいます。

このような事態を避けるための、室内干しのコツをまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。

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防水層のメンテナンスが必要

バルコニーの床に塗られている防水材は、永遠に効果を発揮し続けるものではありません。

一般的によく利用されている、グレー色のFRP防水の耐用年数の目安はおおよそ10年といわれています。

防水層が劣化し水が浸入することで、内部の木材が腐ってしまうと大規模な修繕工事が必要になってしまいます。

このような事態を避けるためにも、防水層の定期的なメンテナンスが必要となるのです。

掃除をする手間が増える

特に公園やグラウンドが近くにあると、砂やホコリがバルコニーにたまりやすくなります。

そのまま放置してしまうと排水溝のつまりの原因となり、雨水などの流れが悪くなってしまいます。

このような理由から、バルコニーは定期的に掃除をする手間がともなうということを忘れてはいけません。

子どもの落下の危険が伴う

2017年から2021年の5年間で、子ども(1歳~5歳)のバルコニーからの転落事故は15件にのぼります。

ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202107/3.html

手すりのすき間やエアコンの室外機、イスや植木鉢などを利用して、子どもは手すりを乗り越えてしまいます。

メリットでも述べたように、室外機置き場や庭代わりにバルコニーを活用することは大きな利点です。

その一方で転落の危険がともなうということを、肝に銘じておかなければなりません。

まとめ

結論から言うとバルコニーをつくること、つくらないことに正解はありません。

これまで解説してきたように、バルコニーにはメリットもあればデメリットもあるのが現実です。

そんな中で大切なのが、自分自身のライフスタイルをイメージし、より生活が豊かになる方を選択するということです。

いろいろな意見がある中で、自分の考えに軸があれば最適な答えを導き出すことが可能となります。

ABOUT ME
榎本裕一
榎本裕一
一級建築士/気象予報士
新卒でゼネコンに入社後、現場監督として公共施設、マンション、物流センターなど大規模建築物の建設に携わる。

一級建築士を取得後、注文住宅の設計に転職し現在までに累計100棟以上の住宅の設計を行う。

さらに気象予報士としてもTV局で気象サポートの仕事を行ない、建築と気象の二刀流生活を送っている。

【資格】一級建築士/気象予報士/SDGs検定合格
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