建築設計用気象データを使った窓の位置の決め方
住宅を設計する時には窓の位置や、窓の開く方向が重要な要素のひとつになります。
その理由は窓の位置や開く方向ひとつで太陽の光の取り入れ方や、風通しの効率が大きく変わるからです。
そこで建築設計用気象データを使った、その土地の風向を確認し窓の位置、窓を開く方向の決め方を紹介します。
建築設計用気象データとは
株式会社ユーワークス(https://youworks.jp/)が提供している、建築設計関係者向けの気象データ取得Webシステムです。
建築設計用気象データサイトで住所を打ち込めば、その土地の次のような15種類の気象データを無料で手に入れることができます。
- 気温[℃]
- 絶対湿度[g/kgDA]
- 推定日射量[MJ/㎡]
- 水平面全天日射量[MJ/㎡]
- 法線面直達日射量[MJ/㎡]
- 夜間放射[MJ/㎡]
- 下向き大気放射[MJ/㎡]
- 南北風[m/s]
- 東西風[m/s]
- 降水量[mm/h]
- 気圧[Pa]
- 風速[m/s]
- 風向[° ]
- 太陽高度[° ]
- 太陽方位[° ]
今回はこのデータの中でも特に風向を用いて、窓の位置や窓の開く方向の決め方について紹介していきます。
風向の確認方法
住所入力
まずは建築設計用気象データサイトのトップページで、調べたい土地の住所を入力します。
今回は皇居の住所(東京都千代田区千代田1−1)で試してみます。
調べたい土地の住所を入力し、検索ボタンを押すと確認画面が出てくるので『確認』ボタンをクリックします。
クリックすると次に調べたい土地の地図が表示されるので、合っているかを確認した上で『この場所の建築設計用気象データを計算する』ボタンをクリックします。
計算結果
計算結果は次のような項目、グラフ、表となって表示されます。
- 気温・降水量
- 絶対湿度・日射量・下向き大気放射
- 風向・風速
- 3か月ごとの風向
- 太陽高度
- 一覧表
風向の確認
計算結果の風向の項目に着目してみると、ひと月ごとに吹く風の風向きの割合がグラフで表示されています。
このままでは1年間すべての月の線が重なって見づらい状態なので、調べたい月にしぼって線を非表示にしていきます。
今回は風を部屋に取り入れると気持ちのいい季節、春(3月・4月)と秋(10月・11月)の風向を表示させてみます。
グラフ右側の月の凡例の文字部分をクリックすると、グラフ内の線の表示・非表示を切り替えることができます。
上の画像は3月・4月・10月・11月の4か月のみを表示させた状態です。
グラフからは次のように春と秋の季節は南北の方向に、より多く風が吹いていることが読み取れます。
- 3月:北
- 4月:南南西
- 10月:北
- 11月:北北西
窓の位置、開く方向の決め方
窓の種類
今回は次の2種類の窓を設置する場合について検討していきます。
引違い窓
日本の窓で一番多く使われているベーシックな横引き窓。
YKK AP 窓の開き方
たてすべり出し窓
たて方向を回転軸に、室外側へすべり出しながら開く窓。
YKK AP 窓の開き方
引違い窓2ヶ所の場合
南北方向に吹く風を正面に受けることができる北面と南面に、それぞれ引違い窓を設ける。
そうすることで部屋の中を風が通り抜け、室内の空気を循環させることができる。
引違い窓1ヶ所+たてすべり出し窓1ヶ所の場合
南北方向に吹く風を正面に受けることができる位置に引違い窓を、窓を開いたときに南北方向に吹く風をうまくキャッチすることができる位置にたてすべり出し窓を設ける。
そうすることで部屋の中を風が通り抜け、室内の空気を循環させることができる。
たてすべり出し窓2ヶ所の場合
南北方向に吹く風をうまくキャッチし、なおかつ部屋の中を風が通り抜けるように2つの窓をそれぞれ反対方向に開くようにすべり出し窓を設ける。
そうすることで部屋の中を風が通り抜け、室内の空気を循環させることができる。
まとめ
窓の位置、窓の開く方向ひとつで住宅の快適性は大きく変わってきます。
今回紹介した建築設計用気象データサイトの気象データを活用することで、根拠のある決定を行うことが可能となります。
ぜひ活用し、良いお家づくりに役立ててください。